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取組みファイル021

「細く長く、遠山かぶを守っていく」

佐藤了さん


 「かぶは西に、大根は東に作るように」と、米沢藩9代目藩主の上杉鷹山公が勧めたことから栽培が始まったとされる遠山かぶ。硬くて肌もごつごつしている遠山かぶは、軟らかく真っ白なかぶに押され、一時は1軒の農家が栽培するのみとなってしまいました。 

 しかし、地域の農家の努力により少しずつ栽培者を増やし、認知度を上げていきました。今回は、伝統野菜である雪菜と共に遠山かぶを守り続けている、佐藤了さんにお話をうかがいました!
 


― 「うまかぶ」から、「遠山かぶ」へ ― 


 遠山かぶはかつて、上杉家が越後から会津を経て米沢に入封した際に持参し、米沢藩第9代目藩主の上杉鷹山公が、産業振興策の1つとして、遠山に作付することを奨励しました。気候風土が適しており、品質がいいと評判で盛んに作られるようになりました。

 しかし18年程前には、品種改良されたかぶに押され一時は姿を消してしまいました。当時、あまりに硬い遠山かぶを揶揄し、“馬しか食べられない「うまかぶ」”と呼ぶ方もいたそうです。
 

 家業の農家を継ぎ、米やりんごのほか、伝統野菜である雪菜の栽培を行っていた佐藤さん。雪菜はもともと遠山かぶから生まれたものだったため(遠山かぶを雪中保存し伸びた「とう」を食していた)、一軒の農家が種を保存していることを知った佐藤さんは、頼みこんで種を譲ってもらい栽培を始めました。
 
 栽培する上で一番の問題は、販路。かつて「うまかぶ」と呼ばれた遠山かぶの名誉挽回は容易ではありませんでした。そんな中、10年ほど前に酒蔵である東光が申し出たことにより、粕漬けの販売が始まりました。それから少しずつ、多方面から注目が集まり、現在では市内の老舗料理店やレストラン等でも使用されています。

 そして今年からは、さらなる販路拡大を目指して東京の市場へ出荷をはじめました。大量出荷はできませんが、今後の展開次第で作付面積の拡大も検討されていくでしょう。
 
 また、種の保存も大切な課題の一つです。アブラナ科の作物は一斉に花を咲かせるため、どうしても交配してしまいます。昨年までは、生産者それぞれで自家採種していましたが、本来の遠山かぶを残すために、今年からはハウスを建ててその中で種を採ることにしたのだそうです。
 

― 煮込み料理にはもってこい! ―
 
 遠山かぶは硬いのが欠点と言われますが、裏返せば、煮崩れしないという長所になります。さらには、火を通せば甘みが出るため煮込み料理にピッタリなんです!
 
 昔から食されている郷土料理には、遠山かぶの「かぶ汁」があります。硬い遠山かぶによく味がしみ込むように、皮付きのまま「ぶっかけ(包丁でひっかくようにかくこと)」にして油揚げやうち豆と一緒に煮、酒粕と味噌を溶き入れてできあがり。冬の間に体の芯まで温まる味噌汁です。
 
 このほか、シチューのような味わいのクリームスープトマト煮ごまみそ煮のほか、冷やしてデザート感覚で食べる寒天ゼリーも紹介されています。(レシピは遠山かぶのホームページよりご覧ください)

  また、粕漬けピクルスといった加工品も販売されています。この日はピクルスをいただきました。歯ごたえがしっかりあり、漬け汁の味も浸みていますがかぶの香りや辛味も残り、ぱりぱりといくらでも食べられるおいしさでした。


― 細~く、長~くだごで ―
 
 佐藤さん達は、栽培・販路拡大に限らず、遠山かぶが残っていく手段を模索しています。その一つとして、小学5,6年生の授業の一つとして、伝統野菜を栽培し料理教室を開いています。子どもにとってそのときはあまりおいしく感じなくても、体験することで記憶に残り、大人になってから思い出して食べてもらえれば、と考えています。
 
 失われかけた遠山かぶが残っていることに対して、佐藤さんは「先輩方のおかげだ」と謙遜します。でも、佐藤さんの尽力が大きいことはいうまでもありません。「細~く、長~くだごで」。失われかけた遠山かぶの種を譲り受け、約20年もの間、こつこつと栽培を続けてきた佐藤さん。細く長く、続けてこられた努力が、太く長く、続いていく遠山かぶになるのは、もうすぐかもしれません。
(取材日:2013.11.7)

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